図-1 押込み試験
図-2 先端載荷試験
静的載荷試験には、従来から一般的に行われている「押込み試験」と、「先端載荷試験」があります。
押込み試験は、杭頭部に油圧ジャッキを設置し、杭頭部に載荷する方法です。建物荷重と同等な荷重条件で試験ができるため、信頼性が高く、杭の荷重-変位関係や極限支持力を求めることができます。 ただし大口径の杭では、大規模な載荷装置が必要となります。
先端載荷試験は、あらかじめ杭先端にジャッキを設置して、杭先端に荷重をかけることにより生じた、杭の摩擦抵抗と先端抵抗とをお互いに反力として載荷する試験です。大規模な反力梁を必要とせずに、杭先端に大きな力をかけることができるため、比較的低コストで精度の良い測定が可能です。場所打ち杭の先端支持力の確認等によく用いられます。
図-3 急速載荷試験
図-4 衝撃載荷試験
動的載荷試験である「急速載荷試験」と「衝撃載荷試験」は、杭頭に動的な荷重を加える載荷試験です。大規模な反力装置を必要とせず、短時間で試験ができるため、1日に多数の杭の品質管理が可能です。
急速載荷試験の中で現在多くの実績がある方法の一つとして、柔らかいクッションを用いて重錘の落下の打撃力を荷重に変換し載荷する軟クッション重錘落下方式があります。杭頭に与えた衝撃が杭先端に達し、また杭頭に戻ってくるまでの時間Trの5倍以上の載荷継続時間(0.1~0.2秒程度)を確保しているため、杭の静的な荷重-変位関係についてもある程度評価することができます。新設杭の試験のほか、反力の取ることが難しい海上杭の試験などに使用され、また既設杭の支持力の判定ができます。
衝撃載荷試験は、ハンマーやモンケンによる杭打撃時に発生するひずみ波形や加速度波形を解析し、杭の緩急抵抗を求める試験法で、最も低コストな載荷方法です。直接杭の荷重-変位関係や支持力を求めることはできませんが、一次元波動理論に基づいて支持力の健全性を確認します。鋼管杭を対象に実施例が増えており、1日に複数本の試験が可能です。
各載荷試験の特徴を表2にまとめます。
押込み試験 |
先端載荷試験 |
急速載荷試験 |
衝撃載荷試験 |
||
載荷方式 |
載荷荷重 |
静的 |
動的 |
||
載荷時間 |
数分~数時間 |
0.1~0.2秒 |
0.01~0.02秒 |
||
加力装置 |
油圧ジャッキ |
軟クッションハンマー,燃焼ガス圧 |
|||
反力装置 |
載荷梁、 |
原則不要 |
不要 |
不要 |
|
静的支持力の評価 |
解析 |
結果を直接利用 |
荷重伝達法等 |
一質点系モデル、FEM 、 一次元波動論等 |
一次元波動論 |
精度 |
高い |
中間 |
低い |
||
コスト |
高い |
中間 |
低い |
杭の載荷試験は、杭の特性の調査、設計定数の確認等を目的として行われるもので、以下のような種類があります。
載荷方向
静的・動的
試験名称
地盤工学会基準
鉛直載荷試験
静的載荷
押込み試験
JGS 1811-2002
先端載荷試験
JGS 1812-2002
引抜き試験
JGS 1813-2002
鉛直交番載荷試験
JGS 1814-2002
動的載荷
急速載荷試験
JGS 1815-2002
衝撃載荷試験
JGS 1816-2002
水平載荷試験
静的載荷
一方向、正負交番
JSF 1831-2010