部材厚さの測定条件は以下の1~3の条件を全て満たすコンクリートに対して適用されます。
- 厚さが100mm以上2500mm以下であること。
コンクリート部材が厚くなると、弾性波の減衰によって、多重反射により生成される周波数を精度良く測定することが困難な場合があります。 - 背面が地盤等と完全に密着していない状態であること。
背面側が岩盤のようにある程度の音響インピーダンスを持つものと完全に密着していると、弾性波が岩盤方向に伝わり、多重反射による周波数が変化し、正確な周波数を測定することが困難となります。 - 測定面と対向反射面が平行とみなし得る形状であり、幅、長さが厚さの 0.5 倍程度以下、または、6倍程度以上あること。
部材厚さの測定は、通常の壁・床などの厚さの測定のほか、豆板・空洞など内部欠陥のある部材、凍害・火害の損傷箇所、お城の石垣の控え長さの測定などに利用されています。
擁壁の断面厚測定
内部欠陥調査
石垣の控え長さ測定
石垣の控え長さ測定の様子
図のように鋼球でコンクリートを打撃すると、弾性波(P波+表面波)が生じ、P波は球状に伝搬して、床版や壁など一定の厚みのあるものはP波が同じ周期で多重反射します。
加速度計で多重反射したP波を捕らえ、その周波数fを測定し、スペクトル解析を行うと、一定値のスペクトルが得られるので、D=Vp/2f より、厚さDが求められます。〔Vp:弾性波速度〕