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コンクリートの中性化試験

鉄筋の腐食の調査は、コンクリートをはつり鉄筋を露出させて、鉄筋径やかぶりの測定と同時に、腐食の状況を直接観察する方法と、コンクリートの中性化試験や塩化物イオン量試験を行って鉄筋が腐食しやすい環境にあるかどうかを調べる方法があります。
また自然電位法は、コンクリート内部の鉄筋が腐食することによって変化する鉄筋表面の電位を計測することで、腐食の可能性を評価します。
自然電位は測定時の気温により多少変動しますが、腐食箇所の分布状況の調査や経時変化を追跡調査するのに適しており、原理が単純で測定も簡便な手法です。


コンクリートの中性化試験

フェノールフタレイン法による中性化深さの測定では pH10以上が着色し、一方鉄筋の腐食は pH11以下で開始されるため、着色した場合でも腐食を起こす可能性があります。そのため、鉄筋腐食の開始は中性化残り(鉄筋のかぶり厚さ-中性化深さ)として、塩化物を含まないコンクリートでは約8mm、塩化物を含むコンクリートは約20mmが必要とされています。

中性化深さ C(cm) は一般に C=A√t で表され、式中のA は中性化速度係数と呼ばれ、コンクリートの使用材料や配合、表面仕上げ材の種類、環境条件などの要因によって決定されます。

構造物の築造からの経過時間t(年)と中性化深さC(cm)から中性化速度係数Aが求められるので、鉄筋のかぶりがわかれば、鉄筋位置まで中性化が進行するのに要する時間を推定できます。

中性化速度式はさまざまなものが提案されていますが、岸谷式によると次の式で示されます。

水セメント比が 60%以下の時、 C=((4.6x-1.76)・R・√t)/ √7.2
 ここに、C:中性化深さ(cm), x:強度上の水セメント比, R:中性化比率, t:経過時間(年)

  • 【参考】
    JIS A 1152 コンクリートの中性化深さの測定方法
    NDIS 3419 ドリル削孔粉を用いたコンクリート構造物の中性化深さ試験方法

コンクリートの塩化物イオン量試験

海岸線に近い場所や、冬期に凍結防止剤を散布する地域など、塩害環境下にある構造物の鉄筋は腐食し膨張して、ひび割れや剥離・剥落などの損傷を起こすことがあります。
また、塩化物総量規制が始まった1986年以前に施工された構造物は、細骨材として海砂を使用した可能性や、コンクリートに早強性を持たせるため塩化物を含む混和剤を使用し、構造物の内部塩分が高くなっている可能性も考えられます。
コンクリートの塩化物イオン量試験は、ドリルを用いて必要な深さからの試料を採取し、又はコア採取した試験体を一定の間隔でスライスしたのち粉砕して、JIS A 1154「硬化コンクリート中に含まれる塩化物イオンの試験方法」などに従い、試験装置に合わせた分析方法で塩化物イオン量を測定します。
以前のコンクリート標準示方書では、鋼材腐食発生限界塩化物イオン濃度を1.2kg/m3としており、この値を超えると鉄筋が腐食する可能性があるとしていました。
 表層のコンクリートより深い位置の塩化物イオン濃度が高くなることがありますが、これは雨水によりコンクリート表層の塩化物が洗い流されたか、又は中性化のフロント現象によって塩化物イオンが深度方向へ移動したことが考えられます。


参考画像

  • はつりによる鉄筋調査

    参考画像:画像1
  • ドリル法による中性化深さ試験

    参考画像:画像2
  • 塩化物イオン量試験の試料採取

    参考画像:画像3
  • 電位差滴定法による塩化物イオン量試験状況

    参考画像:画像4
  • 自然電位法による鉄筋腐食状況調査

    参考画像:画像5
  • 自然電位法による調査結果()

    参考画像:画像6

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