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内部欠陥探査

内部欠陥は、初期の欠陥として、コンクリート打設中の締固め不足によるジャンカ・空洞、打重ね時間の遅延などによるコールドジョイント、硬化過程で生じる温度ひび割れや乾燥収縮ひび割れ、プレストレスコンクリートのシース管グラウト充填不良などがあります。
供用中の欠陥としては、荷重の作用によるひび割れ、凍害や火災による脆弱化、鉄筋腐食やそれに伴う浮き・剥離、道路橋床版の水平ひび割れやコンクリートの土砂化などがあります。
また近年、経済的な断面を得るために配筋が密になる傾向があり、ひび割れ防止ネットなどによっても鉄筋のあきが十分に確保できず、コンクリートの充填が困難になり、空洞や豆板などの内部欠陥が発生している例も見受けられます。
iTECS法はこれら内部欠陥の探査方法として、規格を定め、様々なコンクリート構造物の調査を行っています。

コンクリートの内部欠陥の模式図不具合が出てしまった実際の写真です。


内部欠陥の探査原理

鋼球でコンクリートを打撃すると、弾性波(P波+表面波)が生じ、P波は球状に伝搬して、床版や壁など一定の厚みのあるものはP波が同じ周期で多重反射します。
コンクリート内部に空洞・豆板・ひび割れ等の欠陥が存在すると、以下の①~③の現象が観測されます。
①コンクリートの弾性係数の低下により伝搬速度が遅くなる。
②コンクリート内部の欠陥を迂回して伝搬経路が長くなるため、周波数が低下し断面厚が厚く測定される。
③空洞や水平ひび割れ等の欠陥では、表面で弾性波が反射し、たわみ振動と呼ばれる波長が長く減衰しにくい波形が観測される。

よって弾性波速度を測定して速度が遅くなる箇所や、部材厚さを測定して実際の厚さより大きく測定される箇所や極端に薄く測定される箇所、または得られた波形に乱れを生じる箇所を探すことにより、空洞・豆板・ひび割れ等の内部欠陥の有無や位置を探査することが可能となります。

コンクリートの内部欠陥の探査原理


内部欠陥の探査方法


伝搬時間差法

伝搬時間差法によるコンクリート内部の欠陥探査では、加速度センサーが内蔵されたインパクターで構造物を叩き、受信センサーで弾性波を受けて、センサー間の伝搬時間差を測定し、健全な箇所との相対評価により内部欠陥の有無、位置を測定します。
受信センサー間の距離差が200mm以上であれば適用可能です。

伝搬時間差法によるコンクリートの内部欠陥の探査

伝搬時間差では測定した時間差が健全な部位より5%以上遅くなる箇所に、内部欠陥が存在すると判断します。また、内部欠陥の範囲は、内部欠陥が存在すると判断された測定点の周囲にメッシュ状に複数の測定点を設け、異常値が測定される範囲から判断します。

透過伝搬時間差法の模式図 透過伝搬時間差法を実施している様子


多重反射法による内部欠陥探査

原則として以下①~③の条件を全て満たすコンクリート構造物で内部欠陥を探査できます。
ただし、①~③の条件を全て満たさない場合であっても、健全部と欠陥部で同一条件下の複数点での測定結果を比較することにより、試験が可能となる場合もあります。

  1. 厚さが 100mm 以上 2500mm 以下であること。
  2. 背面が地盤等と完全に密着していない状態であること。
  3. 測定面と対向する反射面が平行とみなし得る形状であり、幅と長さが厚さの 0.5 倍程度以下(棒状)、または、6倍程度以上(板状)である。

多重反射法の模式図

多重反射法による測定手順は以下の通りです。
①コンクリートの厚さ方向を打撃し、多重反射による1次共振周波数を測定します。
②測定した周波数を式 D=Vp/2f(Vp:弾性波速度,f:周波数)により部材厚さに変換します。
③健全部の平均より5%以上変化した測定点に、内部欠陥が存在する可能性があると判断します。
④内部欠陥の範囲は、メッシュ状に複数の測定点を設け、異常値と判断される範囲を限定します。

健全部を多重反射法により内部欠陥探査を行った結果 欠陥部を多重反射法により内部欠陥探査を行った結果


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