コンクリート構造物に発生するひび割れは、構造物の耐力・耐久性・防水性など、諸機能を低下させる主要な原因となります。 ひび割れには、コンクリートの硬化過程で生じる初期ひび割れと、供用中の荷重に伴うひび割れ、劣化に伴うひび割れなど多くの種類があります。 また、ひび割れには許容できるひび割れと、進行性があり劣化につながる有害なひび割れがあります。 ひび割れ幅はコンクリート表面で目視によって確認出来ますが、ひび割れ深さは採取したコアから確認したり、または非破壊試験によりひび割れ深さを測定したりして確認します。 ひび割れ深さを知る事で、ひび割れが鉄筋位置まで達しているか、今後の劣化の進展予測や維持管理・補修に役立てることができます。 ひび割れ深さの測定原理 直角回折波法(臨界角法) ひび割れ部の近傍でコンクリート表面をインパクターにより打撃すると、弾性波はコンクリート内部を伝搬し、ひび割れ先端を回折して、コンクリート表面に到達します。 下図のようにひび割れ深さDCがL1(=L2)だと仮定してコンクリートを打撃すると、ひび割れ先端ではホイヘンス・フレネルの回折が起き、ひび割れの先端がL1よりもっと深い位置にあるときは下向きの波形、それ以上深い位置にひび割れがないときは上向きの波形が現れます。 その両者の波形の変化する角度が直角になることから波形の向きが変化したとき、ひび割れ深さDC=L1(=L2)が得られます。 なお、直角回折波法において、L1≠L2の場合はDC=√(L1×L2)により求められます。 行路差法 行路差法は、ひび割れ先端を回折する経路での波動の到達時間を測定し、ひび割れ深さを求めようとする方法です。入力点及び受信点は、測定対象とするひび割れと直交する直線上に配置し、その距離はひび割れ開口から等距離Lにあるものとします。また、この距離Lはひび割れ深さDCよりも長いものとします。 この時の伝搬時間ΔTは式(1)となり、ひび割れ深さDcは式(2)で表されます。 測定上の注意 コンクリートのひび割れ深さ測定の注意点として、以下の1~3のものが挙げられます。 入力点及び受信点は、測定対象とするひび割れと直交する直線上に配置すること。 ひび割れ内部に水や遊離石灰などが充填されていないこと (これらで埋まっている場合では、ひびわれ深さが浅く測定されることがあります。) ひび割れ深さが鉄筋のかぶり厚さより深いときは、鉄筋を経由する弾性波が発生し、測定深さが実際の深さより浅くなる場合があります。 【コンクリートのひび割れ深さ測定方法】 ①測定表面の処理 測定表面に凹凸がある場合は,ヤスリ・砥石等により測定表面が平滑になるように処理する。 ②測定点の設置,測定波形の取得 打撃点と受信センサーを,ひび割れ開口部を挟んだ位置に設置し,インパクターで打撃する。 ③測定波形の記録 測定波形に再現性があることを確認し,受信センサーの測定波形を測定器に記録する。 ④ひび割れ深さの測定 ②,③の測定を打撃点と受信センサーの距離を変えて行う。なお,測定波形の第1波の向きが上下方向で変化する距離付近では詳細間隔に設定して測定する。 記録した測定波形から第 1 波の向きが上下方向で変化するときの打撃点からひび割れ開口部までの距離 L1 と,ひび割れ開口部から受信センサーまでの距離 L2 を決定する。 L1 と L2 からひび割れ深さを算出する <外部リンク> iTECS法規格 試験04: コンクリートのひび割れ深さの試験方法 コンクリートのひび割れ深さ測定のお問い合わせについて
コンクリート構造物に発生するひび割れは、構造物の耐力・耐久性・防水性など、諸機能を低下させる主要な原因となります。
ひび割れには、コンクリートの硬化過程で生じる初期ひび割れと、供用中の荷重に伴うひび割れ、劣化に伴うひび割れなど多くの種類があります。 また、ひび割れには許容できるひび割れと、進行性があり劣化につながる有害なひび割れがあります。
ひび割れ幅はコンクリート表面で目視によって確認出来ますが、ひび割れ深さは採取したコアから確認したり、または非破壊試験によりひび割れ深さを測定したりして確認します。
ひび割れ深さを知る事で、ひび割れが鉄筋位置まで達しているか、今後の劣化の進展予測や維持管理・補修に役立てることができます。